あるお母さんから聞いた話です。
娘さんのことをとても心配されていました。
ひとり暮らししているそうなのですが、夜遅くまでバイトしていて終わったら急いでスーパーへ行くのだそうです。
理由は特売品、見切り品が出るから。
すると、刺身が100円だったり、肉が半額だったり、とにかく見たことのない値段がついているらしいんです。
お宝ですね。
でもお母さんはそれが不憫に思えてもっとおいしいものを食べさせたいと仕送りをするんだそうです。
自分はそれを聞いて、余計なお世話なのですが
「娘さんが自分でいろいろなことを見て、感じて、価値観が芽生えているときにあまり心配しすぎないほうがいいよ」
と伝えました。
ステージが変わる時、多少いろいろ起きるのは仕方ありません。
そのときに親が関わろうとするとステージに上がる機会を逃してしまいます。
そうすると引きこもりになったり、自分の脚で歩こうとしなくなってしまいます。
もちろんステージは変わらない。
これって不幸ですよね。
親はある意味では偉大です。
でもある意味では、心配しすぎてしまうがために子供の成長を阻害しがちです。
まあ仕方ないんですけどね。
もうひとつ伝えたのは、
「自分の子供の育て方は間違ってないから大丈夫」
と子供のことも自分のことも信じてあげてほしいということ。
「万引きでもしたら困るから」
と言っていましたがそんなことをするようには育てていないはずです。
ある程度子供が成長したら、親にできることは本当に減ります。
これを理解して、放置・放任できるかどうか。
いわゆる”子離れ”です。
子供は案外好奇心からいろんなことをしますが、20歳を超えてくるとそういうことからたくさんのことを学ぶんですよね。
それがとても大切だと思います。
自分の育った環境もあるでしょうけれど、自分の場合ははっきりと覚えていることがあります。
あれは21歳のころだと思います。
学生だったので夏休みは長くて、アルバイト三昧でしたが2泊3日で帰省した時のこと。
自分としたら早く戻ってバイトしたかったんですけどね。
いよいよ3日目に戻ろうとしたら親父とおふくろが見送りに出てきて、親父は笑っていましたが、おふくろは泣いていたんです。
「ん?なんで???」
それを見たときに背筋が伸びるような気持ちになりました。
好き勝手をやってきて、少し道を外したりもした息子のことを泣いてくれるか、と。
まあ、それからもいい息子ではなかったんですが、それでもいろんなことを考えて失敗もしながらそれなりに成長していく。
あの見送りの時に親離れしていく自分を感じました。
そしてそのことを忘れないんです。
ステージが変わるタイミングですね。
そういうことというのは誰にでもあると思います。
そのときにどう周りと関わっていくか。
親は一番近くにいます。
でも、頼りすぎてはいけない。
自分の足で歩いていくことが親孝行の第一歩だろうと思います。
そして親は親ではなくて、”ひとりの人”としてもっとやりたかったこと、我慢していたことを楽しむようになっていく。
そうなっていてほしいと思います。
一生は一度だけ。
そして、自分が思っているよりも短いから。
さあ、今日もいい1日にしよう!